昨年はKENSOとしてのライブがなく、清水先生のソロプロジェクトであるカイコーズ名義でのステージはあったものの、やはりKENSOのライブを心待ちにしていた身としては、実に2年ぶりとなる今回の公演は待望そのものでした。しかもドラムの小森さんが「人間部活動中」という理由で休業中という状況の中、ピンチヒッターとして迎えられたのが、初期KENSOを支えた伝説のドラマー、山本はるきち(山本治彦)氏。いわば“創世記KENSO”による「内ナル声ニ回帰セヨ」というタイトルに、嫌が応にも期待が高まります。
ライブは、はるきちさんのドラムパターンが印象的な「はるかかなる地へ」から始まり、そのまま「ブランド指向」へと雪崩れ込む、『KENSO II』ナンバーでの幕開けでした。ブランクを一切感じさせないはるきちさんのプレイは、小森さんのような圧倒的な迫力とはまた違い、必要なところに的確に打ち込まれる一打一打が、まさに「これぞKENSO」と言いたくなる説得力を持っていて、開始早々から胸が熱くなります。冷静に考えれば、昨年のカイコーズの編成から石黒彰さんが光田さんに戻っただけとも言えるのですが、やはりKENSOのステージとなると、バンド全体の空気感や気迫がまるで別物。そこにあるのは、単なるプロジェクトを超えた“帰る場所”としてのKENSOでした。
MCで、はるきちさんが「KENSOというバンドにトラはありえない」「どんなに上手いスタジオミュージシャンでも無理」「今日は一日だけの“メンバー”として叩きます」と語っていたのが強く印象に残っていますし、清水さんも「小森君を含めた6人分のパワーで演奏する」と気合い十分。その言葉通り、ステージから放たれるエネルギーは凄まじく、これまで何度も観てきたKENSOのライブの中でも、間違いなく最高潮の一つだったと思います。それでいて、ただ激しいだけでなく、どこか感動的ですらある時間でした。
小口さんは手前にXK-2、V-Synth、Motif ES7を配置。オールドナンバー中心のセットリストゆえか、SE-1などのラック類は排したシンプルな構成でした。一方の光田さんはCP1、Prophet-5、MOTIF XS7、さらにD-50、SY99も持ち込んだいつも通りの要塞セット。
セットリストも、ファンにはたまらない内容で、正直一曲一曲について語り尽くしたいところなのですが、それを始めるときりがありません。1stセットは3rdアルバム、通称「折り鶴」からの楽曲が多く、小口さんのKENSO作曲デビュー曲である「ミスカトニック」を、ようやく生で聴けたのは感慨深い出来事でした。20数年前、『LIVE 92』で初めて聴いて好きになった曲が、ここでようやく繋がった感覚です。
2ndセットは、SE的な導入から「日本の麦唄」「陰影の笛」「海」と1stアルバムの楽曲が続き、「陰影の笛」では清水さんのフルートも披露され、感動の連続。「氷島」では、後方高めにセッティングされたフロアタムを、はるきちさんが和太鼓のように叩くアプローチが印象的で、これまで聴いた中でも特に美しい演奏だったと思います。「美深」はいつもながら素晴らしく、『Sparta』では村石さんのドラムに差し替えられている曲ですが、はるきちドラムとの相性も抜群で、ラストの清水先生のギターソロは、どうして毎回あんなにも胸に迫るのかと改めて考えさせられました。
終盤は「麻酔」Part.1〜2を軸に、小口さんのカリンバ、はるきちさんのマリンバが絡む展開から、「さよならプログレ」「空に光る」と2ndアルバムの楽曲で一気に畳みかけて本編終了。アンコールでは「暁に薬師が」という意外な選曲が飛び出し、続く「インスマウスの影」、そして清水さんの「友人、小森啓資が早く帰って来るよう祈りながら」という言葉に続いて演奏された「Good Days, Bad Days」で完全に胸がいっぱいになりました。
今回も2列目どセンターという最高のポジションからの鑑賞。最後には同行した友人が清水先生のピックをゲットするというプレゼントまでついて、忘れられない一夜でした。KENSOというバンドの底力と、時間を超えて続く物語を、改めて強く実感したライブだったと思います。
Setlist
1st
- 遙かなる地へ(from『KENSO II』)
- ブランド指向(from『KENSO II』)
- 精武門(from『天鵞絨症綺譚』)
- JIGSAW(from『KENSO(3rd)』*1)
- Power of the Glory(from『KENSO(3rd)』)
- 氷島(from『KENSO II』)
- ミスカトニック(from『SPARTA』)
- 心の中の古代(from『夢の丘』)
- 聖なる夢(from『KENSO(3rd)』)
- 胎動(from『KENSO(3rd)』)
2nd
- 日本の麦唄(from『KENSO(1st)』)
- 陰影の笛(from『KENSO(1st)』)
- 海(from『KENSO(1st)』)
- Echi dal Foro Romano(from『天鵞絨症綺譚』)
- 美深(from『SPARTA』)
- 麻酔Part.1〜麻酔Part.2(from『KENSO II』)
- さよならプログレ(from『KENSO II』)
- 空に光る(from『KENSO II』)
encore
- 暁に薬師が(from『うつろいゆくもの』)
- インスマウスの影(from『SPARTA』)
- Good Days, Bad Days(from『SPARTA』)
*1:昨年のカイコーズライブでも披露された「Turn To Solution」の2010年アレンジ版。カイコーズのMCでは「JIGSAW 4(フォー)」(4/4拍子ver.の意)とはるきちさんが仰ってましたね。





