盛況のうちに幕を閉じたKENSOの2009年ライブ。例年とは一味違う空気を感じつつも、相変わらずの凄まじいKENSOパワーに圧倒され、充実した夏休みの幕開けとなりました。
今回のステージを振り返る上で、まず触れておきたいのがドラマー小森啓資氏のブログでの記述です。5年越しで温めていたというキーボーディスト小口健一氏との「あの企画」がついに実現するとのこと。「ロート・タム」の使用やボーカリスト募集というワードから察するに、これは「UKトリビュート」ではないでしょうか。先日のUKZ公演には小口さんも足を運ばれていたようですし、今回のライブでもこれまで以上にエディ・ジョブソンの影響を感じさせるプレイが随所に見られたのは、決して気のせいではないはずです。期待に胸が膨らみます。
さて、肝心のKENSOのライブ本編ですが、来年の活動休止を控えていることもあり、メンバー各人の並々ならぬ思いが込められた、エネルギーに溢れたステージでした。昨年披露された新曲群にはさらなる磨きがかけられ、アンコールでもさらに新曲を畳みかけるという、常に前向きなこのバンドらしい姿勢には脱帽するほかありません。「若き日の私へ」などは、先行シングルとして発売してもいいのではないかと思えるほどの完成度で、改めてその楽曲の良さに酔いしれました。
ただ、長年のファンとして正直に言えば、今年の演奏にはバンドのまとまりという点で、わずかな「揺らぎ」のような違和感を感じたのも事実です。個々のペース配分や目指すべきポイントに若干のズレがあったのか、あるいは後半戦で爆音化するチッタ特有のPA環境などが演奏の集中を妨げていたのかもしれません。しかし、これは2006年の『うつろいゆくもの』で一つの頂点を極めたバンドが、さらなる進化を求めて過渡期に入ったという、ポジティブな兆候であると捉えたいと思います。
機材やサウンド面では、後列での観賞だったからか、小口さんのオルガンが非常にバランスよく、力強く響いていたのが印象的でした。対して光田健一さんのピアノは、立ちの鋭いサウンドが際立つ一方で、他のシンセとのバランスが少し小さく感じられたのが惜しまれます。特に「麻酔part II」のリフで、いつものRhodes+フェイザーにFM系のキラキラした音色をレイヤーさせていたのは、新たな試みなのかもしれませんが、アンサンブルの中で少し目立ちすぎていたようにも感じられました。
リーダーの清水義央先生は、今年に入り体調を崩されていたこともあってか、演奏面でのミスやMCの短さ(と言っても公演ははたっぷり2時間半超えでしたが)も見受けられました。しかし、「美深」のソロなどで聴かせる唯一無二の存在感は、やはりKENSOが清水先生という軸があってこそ成り立つものであることを強く再認識させてくれました。ミスをカバーし合うメンバーの姿からは、単なるテクニックを超えた清水先生への深いリスペクトが伝わり、KENSOというバンドの絆の深さに胸が熱くなりました。
アンコールでは、観客が初見で口ずさむにはあまりに難解な新曲「決してサヨナラではなく」に始まり、光田曲「Echi dal Foro Romano」、そしてダブルアンコールでは「さよならプログレ」と、まさに怒涛の締めくくり。終わってみれば、今年も完全にノックアウトされてしまいました。
還暦までにアルバムあと2枚、そして全ライブのDVD化計画という、清水先生の力強い「まだまだ続く!」宣言を信じ、充電期間を経てさらにパワーアップした姿で戻ってくる日を心待ちにしています。
Setlist
- 月の位相 I
- GOS
- 風の中の菲林
- 暁に楽師が
- 朱に交わればRED
- 拝啓アイリッシュエア様
- Rhyme-Stone in Cotswolds
- 若き日の私へ
- 謎めいた森より
- A Single Moment of Life
- 小口ワールド(key solo)
- 木霊の舞う情景
- Good Days, Bad Days
- 月夜舟行
- 美深
- インスマウスの影
- 新宿厚生年金に空
- 麻酔part II
- 胎動
- 空に光る
- 精武門
encore1
- 決してサヨナラではなく
- Echi dal Foro Romano
encore2
- さよならプログレ
