アンナ・マリア・ヨペックの来日公演に行ってきました。結論から申し上げますと、想像を遥かに超える、ここ数年で最も強烈なインパクトを受けたライブでした。終演後もしばらく興奮が収まらないほど、圧倒的なステージ。あまりの内容の素晴らしさに、「セットリストが違うなら1stショウも見ておけばよかった」と後悔するほどの体験となりました。
ポーランドの味覚と贅沢なひととき
今回は整理番号7番という幸運に恵まれ、センターの至近距離という贅沢な席を確保。開演前には、期間限定のポーランド料理を堪能しました。
- ピエロギ:豚肉とキャベツを包んだ、あっさりとした水餃子風の一品。
- ジューレック:サワークリームの酸味が効いたスープ。ソーセージと半熟卵が絶妙にマッチした、初めて出会う奥深い味わいでした。
「楽器」としての驚異的なボーカル
ステージ上にピアノがないことに最初は少し驚きましたが、彼女が声を一出しした瞬間にその懸念は吹き飛びました。ヨペックさんのボーカルは、もはや「凄い」という言葉すら追いつかない次元です。静謐なウィスパーから、日本の民謡をも彷彿とさせる不思議な倍音を含んだ発声、そして驚くほど正確なピッチで繰り出されるパワフルなハイトーン。それらを変幻自在に使い分け、アンサンブルの厚みを独りで作り上げてしまいます。
特に興味深かったのは、2本のマイクスタンドの使い分けです。片方は通常のマイク、もう片方は足元のボーカルプロセッサー(TC HeliconのVoiceLiveでしょうか)に繋がっており、リアルタイムでハーモニーやオクターブを重ねていきます。CDで聴いていた多重録音のような美しい響きが、目の前で一人で再現されていく様は圧巻でした。
言葉の壁を超えて届く「ポーランドの心」
クールビューティーなルックスでありながら、ステージでの彼女は非常にチャーミング。即興のメロディに乗せて日本語で「“イ ケ メ ン”バンドを紹介します♪」とメンバー紹介をするなど、会場を一気に和やかなムードに包み込みました。
「今日はポーランドの心を歌います。言葉の壁を超えて感じてください」という彼女の言葉通り、ポーランド語の意味は分からずとも、その「伝える力」はビシビシと胸に響いてきます。事前に期待していたパット・メセニー・ナンバーの「Follow Me」が聴けた喜びはもちろんありましたが、それ以前に彼女の音楽そのものの深さに完全にノックアウトされた夜でした。
これほどまでに「歌が巧い人」を、私は他に知りません。技術的な驚きを超えて、魂を揺さぶられるような至高のライブ体験でした。
Member
- Anna Maria Jopek(vo)
- Marek Napiorkowski(g)
- Robert Kubiszyn(b)
- Pawel Dobrowolski(ds)
