久しぶりにシンセサイザーを買いました。Roland Boutique JD-08です。今回はJD-08を購入した経緯とか、90年代のシンセサイザー「JD-800」についての思い出話など。

Roland BoutiqueとJD-08
Roland Boutiqueはローランドの過去のアナログシンセを中心としたビンテージシンセにステップシーケンサー機能などを組み込み、コンパクトなハードウェア音源としてリプロダクトしたシリーズです(2015年〜)。
Roland - Roland Boutique
過去、発売されたシリーズには、D-05(D-50)、TR-09(TR-909)、VP-03(VP-330)、JP-08(JUPITER-8)、JX-03(JX-3P+PG-200)、JU-06(JUNO-106)などがあり(全て生産完了)、現行モデルにはTB-03(TB-303)、SH-01A(SH-101)、TR-08(TR-808)、TR-06(TR-606)、JU-06A(JUNO-60 / JUNO-106)、JX-08(JX-8P)、面白いところではMIDIMINI (MIDIMOOG)やSE-1で知られるStudio Electronicsとのコラボ製品であるアナログシンセのSE-02などもラインナップされています。

そんなRoland Boutiqueの中では一番新しい(といっても2021年発売)モデルがJX-08と今回購入したJD-08。
JD-08はパネルを見ればひと目で分かる、Roland JD-800の音源部とパネルセクションを再現したBoutique。JD-800は1991年に発売されたデジタルシンセで、80年代の同社の大ヒットシンセD-50(と狭間のD-70)の流れを受け継ぐRolandのフラッグシップ機でした。

JD-800の思い出
時代を彩ったDX7やD-50に変わりワークステーション系のオールインワンシンセ(KORG M1、YAMAHA SY77。RolandにはW-30なんて機種もありましたっけ…)が主流となりつつあった時代に、古いアナログシンセを思わせる大量のつまみを持つパネルは視覚的なインパクトも大きく(80年代のRolandシンセでは鍵盤と別売りだったPG-800/1000のようなコントローラを合体したとも)、定価30万円の単体シンセは当時中学生だった自分には楽器店で触れるだけで手の届かない高嶺の花でもありました。

日本では小室哲哉さんの使用があまりに有名ですが(アルバム『EXPO』以降、TMN終了までの小室さんがよく使っていたのは自分も覚えています)、海外のアーティストたちにも使われ、Dream Theaterのケヴィン・ムーアやGENESISのトニー・バンクスらが使っていたこともあり憧れのシンセのひとつでもありました。
そんなJD-800は、90年代後半になってハードオフで完動品が破格で売られているのを購入しました。当時のRolandシンセによくあった鍵盤裏のオモリを固定する接着剤(ピンクの接着剤がやばい)が夏になると溶けて鍵盤が動かなくなる故障なども乗り越えつつ、以後10年ほど自宅やバンド活動で使っていたでしょうか。
汎用性の高いシンセではないので手放してしまいましたが、好きな楽器だったこともありJD-08の発売を知ってそれなりに気にしていました。
JD-800とKevin Moore(Dream Theater)
さて、自分が所属しているバンドではアメリカのメタルバンドDream Theaterの1992年の作品『Images & Words』の曲を中心にコピーしているのですが、当時のDream Theaterのキーボード奏者であるケヴィン・ムーアがアルバム『Images & Words』や次作の『Awake』、そしてライブで多用していたシンセがJD-800でした。ライブ機材でシンはセリードやパッド系を主にKORGのDW-8000とDSS-1が担当し、その他のシンセ系の音色、パッド系、そしてピアノの音をJD-800を使って鳴らしていました。
JD-800のピアノ(53番:Ac.Piano 1)は金属的なアタックに特徴のある音で(サンプリングメモリが少ない時代故にベロシティによる音色の変化もかなり激しい)、アコースティックピアノとはかけ離れた音色でしたが、ライブバージョンの音色としてこのJD-800のピアノが当時の彼らのアンサンブルの中で効果的に使われていました。
『Images & Words』のレコーディングではアコースティックピアノが使われていましたが、その後のツアーでピアノ音源として多用されたこともあってか、次作のボーナストラックにもなったインスト曲「Eve」は、全面的にJD-800のピアノがフィーチャーされていました。
ケヴィン・ムーアの脱退後、デレク・シェリニアンもライブサポート時代には機材にJD-800を組み込んで『Awake』の音色を再現していましたが(ピアノの音はJD-800を使わず、確かKurzweilの音源を使っていたような……)、その後正式メンバーとなって以降、セットからは外れて行ったと思います。
バンドではケヴィン・ムーア時代の曲を中心に演奏していることもあり、JD-08を使うことは以前から検討していました。ただ、シンセ1台(Nord Stage 2)のシンプルな機材で完結させていることもあり、今更という気持ちもあったのですが、次回のライブでは過去唯一やってなかった「Wait for Sleep」をやることとなり、アレンジも途中からバンドアンサンブルになる当時のライブアレンジ(↑動画)を再現することになったのですが、丁度楽天セールの際にJD-08の価格が下がっていたのを見掛けて購入しました。
トニー・バンクスのJD-800
JD-800を使っていたプレイヤーは他にもたくさんいますが、GENESISのトニー・バンクスも自らのキーボードブースに2台のJD-800をセットして時期があり、このシンセをかなり気に入っていたようです。
アルバム『We Can't Dance』の「Jesus He Knows Me」のイントロリフなどもJD-800のプリセットによく似た音がありますが(45番)、『We Can't Dance』の録音が1991年の3〜9月に行われているので、発売直後のJD-800を使っていた可能性はあります。ライブではまさにJD-800を使って弾いているのが確認できます。
92年のライブでもJD-800はほぼメインのシンセとなっていて、Old Medleyの「Firth of Fifth」もJD-800を使って弾いていますね。
トニー・バンクスがGENESISで使っていたJD-800のパッチを紹介する動画がYouTubeに上がっていて非常に興味深い!
思い出話ばかりで、長くなってしまったので購入したJD-08の紹介は次回にします。



