毎度おなじみMike Stern Band、今年は鍵盤に小曽根真氏を迎えての来日となりました。
もう最高でした。相変わらずご機嫌なマイクの「うねうねギター」はもちろんのこと、10数年ぶりに拝見した小曽根さんがもう……。ピアノが凄いのは言わずもがなですが、ハモンドオルガンも抜群なんです(元々はオルガン奏者出身なんですよね)。「Wishing Well」でのオルガンソロでは、あまりの感動に涙が出そうになりました。 そしてデイヴ・ウェックル。手数はChick Corea Elektric Bandの頃に比べれば大人しめになったとはいえ、要所で炸裂するプレイには相変わらず口をあんぐりさせられてしまいます。
バンド内には緊張感というより、いい意味でのリラックスムードが漂っていました。全員が笑顔で伸び伸びとプレイしている雰囲気が客席まで伝わってくるようです。クリスがあんなに「おふざけキャラ」だとは思いもしませんでした。
- 機材メモ
- Mike Stern:いつものパシフィカに、BOSSで固めた足元。Yamaha SPX×2、Fender Twin Reverb×2というお馴染みのセット。
- Chris Minh Doky:サイレントベース「SLB200」をメインに、エレベが1本。アンプもYamaha。
- Dave Weckl:ドラムキットももちろんYamaha。ステージ上は、さながらミニヤマハ展示会のようでした。スネアはシグネチャーと思われる13インチと14インチ程度の2台を使用。片方はティンバレスのようなハイピッチにチューニングされていました。
- 小曽根真:ピアノに対してL字型に、Hammond XK-3+XLK-3(ロワーキーボード)をセッティング。B-3ではなくこの組み合わせは少々意外でしたが、レスリーの切り替えをフットペダルで行うなど、機能的に使いこなしていました。
ライブは昨年同様「Tumble Home」からスタート。近年のマイクのバンドは「キーボードレス&テナーサックス入り」が標準でしたが、今回は最初のリフレインに続くユニゾンテーマの時点で「今夜は違うぞ」という手応え。アンサンブルに絶妙に絡みつく小曽根さんのハモンドが実に新鮮です。 クリスのエレクトリック・アップライトベースも、このエレクトリックなバンドサウンドの中で良いスパイスになっています。ただ、本物のアコースティックベースに比べると空気感やタッチノイズの生々しさに欠け、音がやや平坦に聞こえてしまったのが正直なところで、そこだけは「本物」で聴いてみたかった気もします。
マイクは徐々にテンションを上げ、ディストーションを踏んだら最後、凄まじいフレーズの連発が止まりません。一方で小曽根さんがピアノでメロウな4ビートへとクールダウンさせ、そこからまた一気に熱量を上げていく……。この緩急を効かせた阿吽の呼吸は、まさに凄腕ベテランならではの醍醐味です。1曲目にして余裕の20分超えでしたが、満席の会場は最初から最後まで大盛り上がりでした。
続いて「KT」を20分近く演奏した後、マイクと小曽根さんの絡みから「Wishing Well」へ。この曲が個人的に最大の感動ポイントでした。 オリジナルはリチャード・ボナのヴォイスが印象的な、初期パット・メセニー・グループを彷彿とさせる壮大な曲。昨年のテナーサックスが入ったバージョンともまた違う、今回の4人による演奏はまさに絶品。小曽根さんのピアノ、クリスのアップライト、デイヴのブラシが深く混ざり合っていく様にうっとりと目を閉じていると、ラストに小曽根さんのハモンドソロが飛び込んできました。これで完全にノックアウト。オリジナルの「Voices」バージョンをも超えたと言って過言ではない、美しすぎるエンディングでした。
終盤、小曽根さんとデイヴによるデュオ・タイムにも釘付けになりました。ミシェル・カミロのようなラテン系の高速ピアノに完璧に追従するデイヴ。テンションの起伏がピタリと一致する様は本当に気持ちいい! デイヴは最初ブラシで叩いていたはずなのに、いつの間にかスティックで叩いているかのような強烈なアタック音が鳴り響き、「一体何が起きているんだ」と驚愕。スティックへの持ち替えの瞬発力、ブレのないフォーム、無駄のない動きで最大限の音を引き出すタイトなドラムワーク……。メロディックな要素も加わり、ただただ「すげー」と溜息をつくばかりの夜でした。
- Mike Stern(g)
- 小曽根真(org, pf)
- Chris Minh Doky(b)
- Dave Weckl(ds)
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