ローマ郊外に50か所の教会を建設するための資金集めを目的として、1993年から開催されてきたヴァチカン・クリスマス・コンサート。その最終章にあたる1998年から2000年までの3年間の公演をダイジェスト収録したCDが本作です。
当時のローマ教皇、故ヨハネ・パウロ2世のもとに、アメリカ、カナダ、ヨーロッパ各国から一流のミュージシャンが集結しています。参加アーティストは、Sarah Brightman、Filippa Giordano、Manhattan Transfer、Dionne Warwick、Gino Vannelli、Randy Crawford、Bryan Adamsなど、枚挙にいとまがありません。この顔ぶれを見れば、多くを語る必要はないでしょう。
クラシック、ジャズ、ポップス、ロックとジャンルを超えたアーティストたちが一堂に会し、イエス・キリストの生誕を祝う舞台は、カトリックの総本山である聖地ヴァチカン。世界最高峰のクリスマス・コンサートと言っても過言ではありません。収録曲はいずれも親しみやすい楽曲が中心で、幅広い層が楽しめる内容となっています。
なお、本作と同名タイトルのDVDも存在し、そちらにはCharlotte Churchのパフォーマンスなども収録されています。ただし、CDにのみ収録されているアーティストの中に、どうしても触れておきたい存在があります。12曲目で「心の響き」を披露している、キャリア30年を超えるイタリアのベテランバンド、I Poohです。
日本ではプログレッシブ・ロックの文脈で語られることも多い彼らですが、本国イタリアでは、美しいメロディとクラシカルな要素を持つポップ・グループとして高い人気を誇っています。活動歴が長いため、時期によって音楽性の幅も広いバンドですが、このコンサートでは、彼らの持ち味であるシンフォニックなアレンジとヴォーカル・アンサンブルの美しさが存分に発揮されています。厳かな空間の中で紡がれる壮大な音世界は、特に印象的です。
ライブ録音のため、一部には音質面で万全とは言えないテイクもありますが、それを補って余りあるパフォーマンスが収められています。カトリック教徒でなくとも、年に一度、このような音楽に触れ、静かで厳かな時間を過ごしてみるのも悪くないでしょう。ラストを飾るBryan Adamsのパフォーマンスは、会場の空気を一気に明るくしてくれます。
