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キース・エマーソンが亡くなった

土曜日はいつもより少し寝坊して、ネットもあまり見ず午前中を過ごしていた。そろそろ昼食の準備でもするかと、お湯を沸かし始めた所で妻が起きてきて「ねえ、キース・エマーソンのこと知ってる?」と。
嫌な胸騒ぎがしつつも「来月来日だよね。見に行くし」と答えた私に妻が返した言葉は、私が最も聴きたくないものだった…。

キース・エマーソンの演奏を初めて聴いたのは確か私が15歳の頃。「展覧会の絵」というEmerson Lake & Palmer(ELP)のライブアルバムがその出会いだった。
それから20数年、これまで生きてきた中でキース・エマーソンの音楽を聴いてない年なんてないだろう。もちろんELPはとうの昔に全盛期を終えて、やや微妙な再結成を繰り返したりしていたけど、キースが生み出した音楽は常に私を魅力し続けてきたし、右腕の不調、手術を乗り越えてかつてのような演奏ができなくなった後も、私の中では紛れもないヒーローだった。

初めてキースのモーグシンセの音をライブで聴いたときは、会場の床がビリビリと震えるぐらいの重低音に度肝を抜かれた。最後にキースの姿を見たのは、3年前の吉松隆還暦コンサートのこと。観客としてライブを訪れていたキースがアンコールでステージに上がり、ピアノで「Happy Birthday」を「タルカス」のテーマを混ぜて弾いてくれたのは、とてもお茶目で幸せな光景だった。

昨年、スイス旅行中にYesのクリス・スクワイアの訃報を知った際も、俄にはその事実を受け入れることができなかった。1年前に元気にベースを弾く姿を見ていたばかりだっし。
そして今回のキース。2010年のグレッグ・レイクとの来日公演が中止となり、今年こそこそ久々にあのお茶目なキースを見ることができると信じていただけに…。もう2度とあのキーボードプレイや、悪戯っ子のような振る舞いを見る事ができないなんて… 全く実感が沸いてこない。

CDを再生すればいつでも70年代の激しくも華麗なプレイから、映画音楽なども手掛けた80年代の作品、手を痛めながらも一生懸命なプレイを聴かせてくれた後年の演奏まで聴くことができるというのに。その本人がもうこの世にいないだなんて…。やっぱり私はまだ信じられない。
このことを受け止められるまで、まだしばらく時間がかかるだろう。その時が来たら改めて私の偉大なアイドル、キース・エマーソンにお別れの言葉を伝えられるのかもしれない。それまでしばしのサヨナラ。正直言うと今はただただ悲しい。おやすみなさいキース。

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