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今更ながらアイソレーテッドトラック、音源分離技術に驚く(バラバラにされたImages & Wordsを聴く)

かなり周回遅れな話題?ですが、現在の音源分離技術って凄いなと実感した話。

日曜日に5年ぶりの所属バンドのライブがあったのですが、そこで演奏した曲について。前提として私達のバンドは1992年に発売されたDream Theaterの『Images & Words』というアルバムの楽曲コピーを中心に活動しています(その他、『A Dramatic Turn of Events 』というアルバムからも数曲コピーしてましたが、もう完全に忘れました……)。

なんやかんやで30年以上前から愛聴しつつ演奏している曲なので、当時出版された間違いだらけのコピー譜を耳コピ補正したり、公式寄りから出てきた海外の楽譜を参考にしたり、あとは本人たちの演奏する動画を見たりしながら、自分のコピー内容も適宜修正をしてきました。

ここ10年位は新たにコピーをやり直すことなく、覚えたことをどれだけ弾けるかどうか(演奏技術の話)の方が重要だったのですが、ライブの直前になってふとYouTubeを検索したらこんなチャンネルがありました。
Atom Estúdio - YouTube

主に『Images & Words』『Awake』というDream Theater初期の2枚のアルバムから、各楽器パートの演奏を抽出したり、マイナスワン(カラオケ)にした音源をまとめたもの。いわゆる「アイソレーテッドトラック」というやつですね(isolated:分離した)。これらの音源は2018年頃からアップされてたようですが、自分は知りませんでした。メンバーではギタリストは知っていて、コピーや練習に活用していたみたい。

ソニーによる世界最高の音源分離技術で実現した、ボーカルだけをキレイに抽出できるSoundmain Studioの新機能
ソニーグループポータル | AIによる音源分離
ビートルズも活用する「AIによる音源分離」とは? 音楽クリエイティブを支える技術の可能性を探る|Real Sound|リアルサウンド テック
Moises App:ミュージシャンのアプリ|ボーカルリムーバーなど
Vocal Remover & Instrumental AI Splitter | LALAL.AI
GitHub - deezer/spleeter: Deezer source separation library including pretrained models.

「アイソレーテッドトラック」は数年前から実用的になってきた音源分離技術(上記リンク参照)によって抜き出された音源のこと。ミックスされている音源から特定のパートを分離する専用ソフトやウェブサービスがあることは知っていましたが、ここまで見事に抜き出せる(消せる)ものなのですね。30年以上ずっと聴いている音源だけに、その技術の凄さがよく分かるというか……。

例えば今回もライブで演奏した曲「Metropolis pt.1」のギターパートのみ抜き出した(消した)トラックだとこんな感じ。

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私も最近練習しているギターでは、同様の技術で作られたギターカラオケ音源を練習音源に使わせて貰ってます。

以前、minimooogの記事で取り上げた、Judas Priestの『Painkiller』のベースはドン・エイリーがmoogで弾いたもの(がメインでそこにベースの演奏も一部重ねてある)であるという衝撃の事実。これもアイソレーテッドトラックの音源があったことで、より信憑性が裏付けられた話題でした。

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Highway Starのイアン・ペイスのドラムが想像以上にハネてることが明らかになったのも同様の技術。これはYouTubeのチャンネル名がそのままですね。

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ポール・マッカートニーのベースのアーティキュレーションも丸裸に……。

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John Sykesの名演もこの通り。ギターソロの前、こうなっていたのかぁ……。ミックス音源を聴き込んでいた人ほど感じる衝撃の事実!?

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上手いギタリストの抜き出し音源はギターキッズ(ただしキッズではない)的にはそれだけで十分な鑑賞の対象になる。レブ・ビーチによるダブリングも美しい一切隙のないプレイ。ジェイクの名リフもこんなに粒の立った正確さだったのかと改めて。

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クラシックロック系のバンドサウンドが多いの単純に私の興味もありますし、やはり分離しやすい音源はこの時代の3リズム、4リズムの音源が中心になるのかな。現代のDAW大量トラックで作られている音源などは、どこまで分離が可能なのでしょうね。

さて、これらのアイソレーテッドトラックは、耳コピ素材としては最適なこともあり、楽器プレイヤー系の人間に興味深く聴かれる一方で、実際に音源を分離されてしまう側のミュージシャンからはやはり苦言もあったりして、我々世代のギターヒーローであるヌーノ・ベッテンコートによるこんなコメントもありました。
amass.jp

確かに特にギターソロやボーカルトラックに関して、リズム、バッキングトラックから分離されるのは、本人が望んでないならば本来はルール違反のような行為。マルチトラックで自分の演奏や歌を録音したりミックスした経験がある人なら、誰でも分かる!?

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ヌーノの言ってることはもっともですし、そんなヌーノにしても1人のファンとしてエディの分離ソロを聴いてみたかったのは正直な気持ちなのでしょう。
ヌーノも自分の音源を抜き出されることは望んでないかもしれませんが、ソロ技術はもちろん稀代のリズムプレイヤーであるヌーノのギタートラックは、我々にしてみたらそのまま正座鑑賞レベルの完成度。知ってたけどやばいな。知ってたけど。

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リズムに関してはヌーノ同様にエディも化け物級のプレイヤー。ほぼ一発撮りのスタジオライブに近いと言われてる1stアルバム(まだ70年代!)でこの衝撃的なプレイ。エディもやっぱり嫌がるかもしれないけど、ギターファン的に興味津々で聴いてしまいますね。

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多いに脱線してしまいましたが、コピーしていた音源のアイソレーテッドトラックをライブ直前になって聴いてしまったことで、数々のコピー間違いや音色の新事実に気づいた自分。全てを修正することは不可能だとしても、ギリギリ対応できそうな数カ所の変更を加え、前日に珍しく猛練習して本番に望んだのでした。結果はまぁ……。
ケヴィン・ムーアのシンセリード、こんなに歪んでかつレガートにならない音色だったんですね。オケヒットが鳴っているのも全く気が付かなかったなぁ……。

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ライブは演奏はともかくそれなりに楽しめました。この曲もコピーの違ってる箇所がありましたが、すぐに修正できる部分以外は保留。そして直した場所を間違えたが。