昨日までの猛暑が嘘のように涼しい、小雨のパラつくお盆休み最終日。川崎クラブチッタで今年もKENSOを観てきました。いやぁ、本当に素晴らしい、エネルギッシュなライブでした!
今回は2列目の通路席という好位置。清水(義央)先生が常に正面にいたため、背後の小森(啓資)さんだけは隠れて見えませんでしたが、それ以外のメンバーの一挙手一投足からは一瞬たりとも目が離せない、2時間35分の真剣勝負でした。聴衆側も、彼らが紡ぎ出す緻密な音世界を聴き逃すまいという、凄まじい集中力で対峙する……そんな緊張感と熱量に満ちたライブでした。
披露された3曲(半?)の新曲も素晴らしかったです。また、「日本語ラップ撲滅の会・副会長」こと清水氏は、某青学出身バンドの解散ネタなども交え、MCでも舌好調。年に1〜2回しかライブを行わない現在、その数少ない本番に向けて精鋭メンバーを率い、あのテンションとクオリティを本番の瞬間に集約させて爆発させられるのは、リーダー清水氏の的確な舵取りがあってこそだと改めて感じました。
それにしても、KENSOのツインキーボードには本当に痺れます。今日の小口(健一)さんは特にキテいましたね……。ありきたりな言葉ですが、理屈抜きに格好良かった。ダブルアンコールの「美深」も心に沁みましたし、同曲をピアノソロで演奏した光田(健一)さんも見事でした。
さて、キーボード弾きの端くれとして開演前から気になっていたのが、小口(健一)さんのセッティング変更です。
従来通りの「2段×2段」構成は維持しつつも、これまでの「二の字」配置から「L字」セッティングへと変更されていました。これには清水先生からも「Eddie Jobson気取りでいい気なものだ」と愛のある(?)いじりが入っていましたが(笑)、使用機材はKORG Trinity、YAMAHA MOTIF ES、Roland V-Synth、HAMMOND XK-2という盤石のラインナップだったかと思われます。
今回のライブではいくつかの楽曲で細かいアレンジの微調整が加えられていましたが、特に小口さんのキーボード(とりわけXK-2によるオルガン)をフィーチャーした場面が増えたように感じました。これまでシンセパッドが鳴っていたセクションがオルガンに置き換わっているなど、よりオーガニックな力強さが加わっていました。
中でも印象的だったのが、アルバム『うつろいゆくもの』に収録されている光田健一氏の作曲「Rhyme-Stone in Cotswolds」です。同じく光田氏の手による「Echi dal Foro Romano」と並び、シンフォニックかつロマンチックなKENSOの新たな一面を象徴する名曲ですが、ライブならではのアレンジが施された後半のブレイクが実に秀逸でした。
光田氏が奏でる、[A−C#7−Bm7−F#m7−D△7−E−F#m7−G#m7]的なピアノのコードプレイに、小口氏のオルガンが絡んでいく展開には思わず涙。
これまでの小口さんは、ハモンドB-3をあえて意識しすぎない(過去のキーボード・マガジンのインタビューによればダイナコードのレスリー・シミュレーターを通した)独自のオルガントーンが特徴でしたが、今回はよりハモンド・クローンらしい王道の音色が前面に出ていた気がします。あの繊細なピアノと力強いオルガンの絡み……個人的に最高にツボでした。
また、小口氏作曲の「Tjandi Bentar」では、光田氏が笑顔で小口氏の方を見つめながらソロを取る場面も。互いの楽曲をリスペクトし合っているのがダイレクトに伝わってくる……こうしたやり取りを間近で見られるのも、2列目という良席ならではの収穫でした。

