パット・メセニーとブラッド・メルドーのデュオ、そしてカルテット編成でのライブ。
今回のNHKホール公演、友人が手配してくれた席がなんと2列目の超至近距離。会場に入ってその近さに驚きました。 ステージは上手からジェフ、ラリー、パット、ブラッドという並び。ブラッドのスタインウェイは下手奥に向けられ、客席に斜めに背を向ける形でしたが、これは隣に立つパットとのアイコンタクトを最優先したセッティングでしょう。私の位置からはブラッドの手元がよく見えました。
パットのギターは、いつものIbanez PM20に加え、リンダ・マンザーのバリトンギター、ピカソ、そしてローランド GR-300を制御するG-303。 興味深かったのはPM20のアウトプットが2系統になっていた点です。通常のマグネットPUの音だけでなく、エレキの生音に近いスティール弦の鳴りやフレットノイズを強調したエアーマイク的なサウンドを混ぜていたように感じます。ピアノとのデュオという親密な形態において、ギターの表現力をより細密にする狙いがあったのかもしれません。
音響についても、ホールツアーらしく非常に作り込まれた印象。バリトンギターやピカソギターが持つ、ピアノのように豊かな低音やハープ弦の荘厳な響きは、NHKホールのような大空間でこそ真価を発揮していました。
ステージはまずパットとブラッドのデュオからスタート。4曲を演奏したのち、ラリーとジェフが合流してカルテット編成へ。アンコール2回を含む160分弱、休憩なしのぶっ通しで繰り広げられた演奏は、生命力に溢れる素晴らしいものでした。
主役の2人以外で今回特に印象に残ったのがドラムのジェフ・バラード。テンションが上がった際の熱演は、思わず曲を見失いそうになるほどスリリング。顔から大量の汗をほとばしらせて叩きまくる彼を、パットがニコニコと楽しそうに見守る姿が印象的でした。
今回初めて観たブラッド・メルドー。柔らかなタッチでありながら、硬質で粒立ちの良い音がしっかり鳴っていることに驚きました。派手に弾きすぎることはなく、時に左手を抜いてバンドサウンドに溶け込むリリカルなアプローチは、盟友ライル・メイズにも通じますが、その手触りは全くの別物。ピアノの上に置いたタオルを落としたままにするなど、どこか「心ここにあらず」な雰囲気もあり、体調を心配しましたが、その立体的なフレージングに魅了されました。これを機に、彼の作品も追いかけてみようと思います。
本編ラストのミルトン・ナシメントのカバー「Vera Cruz」がとにかく絶品で、心に深く刻まれる一夜となりました。
Setlist
[DUO]
- Unrequited
- All The Things You Are
- Better Days Ahead
- 28
[QUARTET]
- A Night Away
- New Blues
- Silent Movie
- Ring Of Life
- The Sound of Water
- Secret Beach
- Vera Cruz
[ENCORE]
- Bachelors III
- Blues For Pat
- Pat Metheny (g)
- Brad Mehldau (p)
- Larry Grenadier (b)
- Jeff Ballard (ds)

