上原ひろみが初めてサイドメンとして参加したプロジェクトは、なんとスタンリー・クラーク率いるトリオでした。ドラムにはレニー・ホワイトを迎え、昨年再結成ツアーで話題を呼んだ「Return to Forever」のリズムセクションに上原ひろみが加わるという、プログレ・フュージョンファンにはたまらない組み合わせです。
国内盤では上原ひろみの名前が前面に押し出されていますが、本作はあくまでスタンリー・クラークのリーダー作として聴くのが正解でしょう。意外なことに、スタンリーにとって全編アコースティック・ベースによるアルバムは今作が初めてとのこと。そんな巨匠を相手に、サイドメンとしてストレートアヘッドなジャズに向き合う彼女の姿は非常に興味深いものがあります。
倍以上も年の離れたベテラン二人を前にしてか、いつもの爆発的な勢いは少し控えめな印象も受けますが、その分彼女の持つ「叙情的な側面」がより鮮明に描き出されています。個人的にはアグレッシブなアドリブだけでなく、彼女が時折見せるこうした繊細な歌心が大好きなので、美しいフレーズが流れるたびに思わずニヤリとしてしまいます。
全13曲のラインナップは、それぞれのオリジナル曲からスタンダード、さらには日本の「さくらさくら」まで多岐にわたります。中でもレッド・ホット・チリ・ペッパーズの「Under The Bridge」のカバーは、彼女自身の『Beyond Standard』で見せた路線ともまた一味違う面白いアレンジに仕上がっており、一聴の価値ありです。

