今年発表された、前作『Marbles』から2年ぶりとなるマリリオン(Marillion)の最新アルバムです。
前作収録のシングル「You're Gone」が本国イギリスのチャートで久々のヒットを記録したこともあり、再び私の耳にもその名が届くようになった彼ら。それをきっかけに、長らく離れていた『Brave』以降の作品も少しずつ聴き返していたのですが、そんなタイミングでこの新作が届けられました。
前作『Marbles』と比べると全体的にポップな印象が強まりましたが、浮遊感のあるサウンドにスティーヴ・ホガースの叙情的なボーカル、そしてスティーヴ・ロザリーの美しいギターが絡み合う独特の世界観は健在です。 突出したキラーチューンがあるわけではありませんが、10曲で52分という比較的コンパクトな構成の中に散りばめられた佳曲たちが、アルバム全体の空間を美しく彩っています。全編を通して非常に心地よく、身を委ねられる作品に仕上がっています。
かつての「ポンプ・ロック」や「ネオ・プログレ」といった枠組みからは完全に解き放たれた感のある彼ら。現在のサウンドには何の制約も感じられず、自分たちの内側から湧き出る音楽を自由に追い求めている、そんな健やかな雰囲気を感じて好感が持てます。
いかにも英国的な叙情感が自然に溶け込んだこの熟練のサウンドは、一部のマニアだけでなく、現代のUKロックファンにも広く受け入れられていいはず……そう思わずにはいられない良作です。
