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『Time Control』上原ひろみ〜Hiromi's Sonicbloom

「Time Control」上原ひろみ〜Hiromi's Sonicbloom

本日発売された上原ひろみの4thアルバムは、変態ギタリストとして名高い(?)奇才David Fiuczynskiを迎えた「Hiromi's Sonicbloom」名義での作品です。リズム隊はお馴染みのTony Grey(b)とMartin Valihora(ds)という布陣。アルバムタイトルやトラックリストが示す通り、「時(時間)」をテーマにしたコンセプトアルバム的な構成になっています。

何はともあれ、今年聴いた中で最も鮮烈な印象を残す「ロックアルバム」と呼んでも過言ではないかもしれません。もともとロック的な勢いのある彼女の作品ですが、本作はますますプログレッシブ・ロック的な趣が強まっています(やはりKing Crimsonの名を出したくなりますね)。高速シーケンスとユニゾン、変拍子、キメの嵐、ハードロックのリフを思わせるテーマ、そしてジャズミュージシャンとしての本領を発揮した縦横無尽のインプロヴィゼーション……。「ジャズかロックか」なんて定義付けが馬鹿馬鹿しくなるほど、爽快なひろみワールドが全開です。

前作『Spiral』はピアノトリオの可能性にこだわった一枚でしたが、本作はシンセサイザーやエレピ、そして超個性的なFiuczynskiのギターが加わったことで、サウンドパレットが一層カラフルになった印象です。愛機「ノードくん(Nord Lead 2)」だけでなく、リングモジュレーターを通したRhodes(完全にジャズ・ロック!)も多用されています。ベースのTony Greyも6弦ベースの高音域を使ったリードプレイを駆使するタイプ(Matthew Garrison系でしょうか)なので、3人のリードパートが激しくせめぎ合う様は大きな聴きどころです。一方で、クラシカルで抒情的なセクションや展開も健在で、この振り幅こそがプログレファンを惹きつける魅力なのでしょう。
インタビューで彼女は「シンセとピアノの役割はTension & Release(緊張と解放)」と語っていますが、アルバムの流れのなかでも「解放」の役割を果たす曲がバランスよく配置されています。74分間ずっと走りっぱなしというわけではないので、その点はご安心を。もっとも、彼女のピアノパートはそれ自体が十分すぎるほど「Tension」に満ちていますが(笑)。

Fiuczynskiのプレイや個別の楽曲について語り出すと止まらなくなりそうなので、今夜はこのあたりにしておきます。要するに、最高に「カッコいい」一枚だということです。今年こそは彼女のライブを、ぜひこのSonicbloom編成で体感したいですね。