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『Another Mind』Hiromi(上原ひろみ)

バークリー在学中にTelarcレーベルからデビューした逆輸入アーティスト、上原ひろみの2003年のデビューアルバムです。新人とは思えない勢いと熱量に満ちた演奏が楽しめます。
パーソネルはHiromi(pf, key)、Mitch Cohn(b)、Dave DiCenso(ds)、Anthony Jackson(b)、Jim Odgren(as)、Dave Fiuczynski(g)。基本はピアノトリオを中心に、ゲストとしてサックスとギターが参加しています。現在のレギュラートリオであるTony GreyとMartin Valihoraは、2ndアルバムの参加です。

音楽性は、いわゆる4ビートやビバップのジャズではなく、フュージョンやジャズロック、プログレッシブロック、ファンクなどの要素も含んだスタイル。デビューアルバムにして全曲オリジナルという点も注目に値します。
1曲目の「XYZ」は、変拍子を駆使したハイテンションナンバー。ベースとユニゾンして疾走する9/8拍子のオスティナートは、ELPの「タルカス」を彷彿とさせます。録音はおそらく一発録りで、その演奏力に驚かされます。
「Double Personality」はサックスやギターが加わり、後半ではピアノソロが加速度的に展開する11分の壮大なナンバー。
「010101」はファンキーなシンセクラビ風のテーマで、シンセリード(Nord Lead2と思われます)のソロでは「熊蜂の飛行」のフレーズも登場します。「Truth And Lies」はリリカルで美しいメロディ、「Dancando No Paraiso」は豪快かつテクニカルなラテン調ナンバーです。タイトル曲「Another Mind」はシンフォニックなプログレを思わせるドラマチックな展開が印象的です。ボーナストラックの「The Tom And Jerry Show」では見事なラグタイム演奏も楽しめます。

ジャズのフォーマットに則りながらも、上原ひろみはインタビューでプログレバンドやJeff Beck、Frank Zappa、Sly Stone、Janis Joplin、さらにはDream Theaterの名前まで挙げるなど、幅広い音楽的影響を感じさせます。自由にのびのびと演奏する姿勢が伝わり、聴いていて非常に気持ちの良いアルバムです。今年はぜひライブも体験したいアーティストです。