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「M.T.Man」坪口昌恭PROJECT

M.T.Man

M.T.Man

  • アーティスト:坪口昌恭
  • インディーズ・メーカー
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現在はDCPRGや東京ザヴィヌルバッハで活動する坪口昌恭さんが、10年程前に都内を中心に活動してたメインプロジェクトの1stアルバム('95)。レコーディングメンバーは坪口昌恭(key)、菊地成孔(sax)、水谷浩章(b)、芳垣安洋(dr, per)、そして鬼怒無月(g)が6曲に参加。細かい経緯は省略しますが、当時このバンドのライブを新宿PIT INN等でよく見ました。菊地氏、水谷氏はほぼ固定メンバーでしたが、ドラムは外山明氏や坪口さんの弟さんが叩くことも、ギターレス編成の方が多かったかな(確かSaxがいる時はGuitarを入れないようにしてたとか聞いたような…)。この頃既に若手の実力派として活躍してる面々でしたが、今や全員押しも押されぬ人気ミュージシャンですよね。

ジャズ、フュージョン、ジャズロック、、、呼び方はどうででもいいのですが、フュージョンを聴きかじりプログレ大好きっ子だった当時の自分には、ドンピシャだったこのバンド。楽曲を聴き込めば複雑、緻密に作り込まれた側面もありますが、パッと聴きはとてもポップで聴きやすい印象。どことなくユーモラスなメロディは、無国籍な雰囲気も漂いつつ、どこか日本の清く正しい少年時代を思い起こさせるような懐かしさがあったり、なによりアルバム全体に演奏者の楽しげな空気が溢れています。テーマの多くを奏でる菊地氏の軽やかなSop. Saxがいい雰囲気を演出しているのですよね。坪口さんはアコースティックピアノをメインに演奏してますが、シンセも要所要所で効果的に使われていて、エレクトリックジャズ的な印象を受ける場面も。

変拍子のSaxリフとマリンバシーケンスの絡みが印象的な「Leisure Land」、牧歌的ジャズロックな「鉄道少年」、MacのシーケンサーVisionのスコア逆転により生まれた、テクノロジーのアナログ再演「やどかり」はコミカルさと前衛の共存?坪口さんが敬愛するJoe Zawinulが「Black Market」を逆転鍵盤で弾いたアイディアと通じるものが、、、あるのか? The Edge風ディレイギターの上でTenor Saxと鍵盤ハーモニカが交錯する「Trihedron」は「Song X」に触発されて生まれたとか。ラストを飾る10分を超える「音楽家を裁く法律」、イントロダクション、そして中盤のスリリングな展開がプログレっ子にはたまらなく、ライブでは楽しみな曲でした。WRやCCEBを彷彿とさせるセクションがあったり、一度Sax抜きのGuitar(鬼怒無月氏)入りで、坪口さんもアコピを弾かずRhodes&シンセという編成でのライブを見ましたが、ジャズロックバンドのようでした。
インディーズ盤にしてはなかなか録音が良く、特に芳垣安洋氏のドラムの音がとても気持ちいいのですよね。現在でも入手できるか分かりませんが、ライブ会場などで売ってるのかな?